
「インナーマッスルを鍛えると◯◯できる」という文言はよく聞きますが、その中の情報が意外に“嘘”だったということはよくあります。
インナーマッスルを鍛えれば…!と期待して頑張っても、無駄な努力になってしまうことがあるかもしれません。
この記事では、
- インナーマッスルに関する嘘
- 身体の悩みを改善するためにやるべきこと
などを解説します。
今回の記事の内容
インナーマッスルの役割
そもそも「インナーマッスル」とは、どのような筋肉なのでしょうか?
インナーマッスル=中の方にある筋肉(深層筋)
例えば、
- 大胸筋(胸の筋肉)
- 上腕二頭筋(力こぶの筋肉)
- 腹直筋(6つの割れるお腹の筋肉)
- 大腿四頭筋(前ももの筋肉)
こういった筋肉は、全て身体の表面にある筋肉で、直接触れることができる筋肉です。
このように、表にある筋肉のことを「アウターマッスル(表層筋)」といいます。
逆に、身体の中側にある、
- 肩甲下筋(肩甲骨の前側にある筋肉)
- 棘下筋(肩甲骨の後側にある筋肉)
- 腹横筋(お腹にある筋肉)
などはインナーマッスルと言われる深層筋です。
インナーマッスルの役目
インナーマッスルの役割は主に、
関節を動かす際に、関節がズレてしまわないように支える
という働きをします。
ですので、関節周辺に小さく存在していることが多いんですね。
このことを頭の中に置いた状態で、インナーマッスルに関する情報を精査していきます。
インナーマッスルに関する嘘?①:痩せる
まず最初は、ダイエット関連について解説しますね。
インナーマッスルを鍛えてもほぼ痩せない
よく「インナーマッスルを鍛えると痩せる!」と言われることもありますが、正直ほぼ痩せません。
ここで言う痩せるというのは、体重が減るかどうかですが、インナーマッスルを鍛えても体重が減るぐらいの変化は期待できないんですね。
この理由はシンプルで、
- インナーマッスルは小さい筋肉なので、鍛えても基礎体力の向上は微々たるもの
- インナーマッスルを鍛えるときの消費量も少ない
などの理由から、痩せることはほぼ期待できないと思います。
これはストレッチも近いようなことが言えて、「ストレッチだけで痩せるのか、痩せないのか、どっち?トレーナーが解説」で詳しく解説しています。
多少のシェイプアップは可能かも
ただ痩せるという意味を「引き締まる」という意味に変えると、少し違った見方になります。
インナーマッスルを鍛えると、筋肉そのものが細く引き締まることがあり、この場合身体は細くなることがあるかもしれません。
また、インナーマッスルを鍛えようとすると、必ず周辺の筋肉も一緒に活動するため、
- 鍛えるとインナーマッスルが引き締まり、微妙に身体は引き締まる可能性
- インナーマッスルを鍛えると、周辺の筋肉も活動して身体が引き締まる可能性
こういった理由で痩せる(引き締まる)ということはできると思います。
インナーマッスルを鍛えるより食事の調節が必要
もしダイエットをしたい方は、インナーマッスルを鍛えるよりもアウターマッスルを鍛えた方が基礎代謝が上がります。
ですので、インナーマッスルを鍛えるよりもアウターマッスルを鍛えた方が効率的と言えそうです。
基礎代謝を上げる方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
ただ、本気でダイエットを成功させたい方の場合、トレーニングよりも食事の調節の方が必要になります。
もしダイエットしたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
インナーマッスルに関する嘘?②:姿勢が改善する
続いてのインナーマッスルに関する嘘ですが、姿勢についてです。
インナーマッスルを鍛えても姿勢は改善しない
これは非常にシンプルで、インナーマッスルを鍛えても姿勢は改善しません。
なぜなら、インナーマッスルが弱くて姿勢が崩れているわけではないからです。
もしご自身の姿勢が悪いと感じる方は、以下の記事を参考に姿勢改善してみてください。
適切にできるとすぐに姿勢が改善しますし、一切鍛えていません。
姿勢を改善するためには全身の筋肉を緩めたり、良い姿勢そのものを身体にインプットすることが重要です。
ですので、インナーマッスルを鍛えるから姿勢が改善するわけではないので、こういった姿勢の情報も少し微妙な感じがします。
プランクで姿勢改善ができる
また、インナーマッスルを鍛えるときに「プランク」と言われる、こういった姿勢を維持するトレーニングが行われることがあります。
こういったトレーニングをすると、適切な姿勢をインプットすることができ、その結果姿勢が改善します。
プランクで姿勢改善できる理由は、
- プランクを行ったときの姿勢を身体がインプットするから
- インナーマッスルが鍛えられて姿勢が改善するわけではない
ということです。
この辺りは「プランクだけで痩せるのか?痩せないのか?トレーナーが解説」で詳しく解説しています。
こういったことから、インナーマッスルを鍛えても姿勢改善は難しいということですね。
インナーマッスルに関する嘘?③:腹筋が割れる
次は、インナーマッスルを鍛えると腹筋が割れるという情報ですが、これは嘘です。
割れる腹筋は別
腹筋が割れると、以下の男性のようになります。
この筋肉を「腹直筋」と言って、表層にある筋肉です。
元々割れてはいるものの、
- 腹直筋を肥大させる
- お腹の脂肪を極力落とす
ということがセットでできると、腹筋が割れます。インナーマッスルどうこうは関係ありません。
ですので、インナーマッスルをいくら鍛えても「腹直筋」などの表層筋を鍛えたり、脂肪を落とさない限り腹筋は割れません。
インナーマッスルに関する嘘?④:腰痛や膝痛などの痛みの改善
続いては、痛みの改善とインナーマッスルの関係についてです。
痛みは全身の崩れによって起こる
例えば、日頃頭や重心が左側に偏る人がいるとします。
こういう状態で長時間過ごすと、大体の場合は左腰にストレスがかかります。
そうすると、
- 左側の腰の筋肉が硬くなる
- ストレスに耐えられなくなると炎症が起こる
- 左腰に痛みが出る
ということが考えられるんですね。
この場合、全身の筋肉を緩めると以下のような自然体に直すことができます。
そうすると左腰へのストレスは軽減され、腰痛の改善ができます。
身体に発生する多くの痛みの原因は、こういった全身の崩れによって部分が痛むというケースです。
インナーマッスルが弱い=痛みではない
先ほど姿勢のところでお伝えしましたが、インナーマッスルが弱いから姿勢が崩れることは考えにくいです。
それよりも、日頃の座り方や立ち方の癖によって姿勢が崩れてしまう。その結果、部分の筋肉に対するストレスが大きくなるわけです。
ですので、
- インナーマッスルを鍛えても姿勢は改善しない
- 姿勢の改善のためには、インナーマッスルの強化よりも筋肉を緩めること
- そもそもインナーマッスルが弱いから姿勢が崩れている、痛みが出るわけではない
となり、インナーマッスルを鍛えても、腰痛や膝痛は改善できません。
インナーマッスルに関する嘘?⑤:低負荷じゃないと鍛えられない
インナーマッスルは、高負荷でも鍛えられることがわかっています。
以前までは低負荷のトレーニングが行われていた
僕が学生の頃は、インナーマッスルを鍛えるためには「低負荷(軽い重り)じゃないと刺激できない」と言われていました。
ただ、近年の研究で明らかになっていますが、アウターマッスルなどと同じようにインナーマッスルは高負荷でも鍛えられます。
ですので、低負荷じゃないと鍛えられないというのは嘘になります。
アウターマッスルよりも扱える負荷は小さくなる
ただ、付け加えておくと、
- アウターマッスル=大きめの筋肉
- インナーマッスル=小さめの筋肉
という特徴があり、インナーマッスルを鍛える場合は必然と扱える重量は小さくなります。
インナーマッスルが肥大してもしれているため、そういった意味では扱える負荷は小さくなりますね。
インナーマッスルに関する嘘?⑥:体幹がブレなくなる
続いては、スポーツ選手に対してよく言われることですね。
インナーマッスルの強化=体幹がブレなくなる
例えば、マラソンランナーが走っている時、身体が左右に動いて蛇行するような走り方になっているとします。
こういう場合には、「体幹のインナーマッスルが弱いから蛇行してしまうんだ」などと言われることがあります。
この問題はそこまで浅くなく、蛇行する原因は、
- 重心が左右に蛇行してしまっている
- 身体を捻るような動き(癖)がある
- つま先や足首を使うなど、走り方の問題がある
- アライメントの問題がある
など、さまざまな要因によって蛇行するんですね。
その他のスポーツでも同じで、バランスが崩れてしまう=インナーマッスルが弱いと言われがちです。
これらはインナーマッスルの問題ではなく、身体がぶれる・バランスが崩れる原因が別にあるというわけです。
体幹のブレやバランスの改善に重要なこと
こういったスポーツ選手の体幹のブレやバランスは、根本的に問題になっている原因を取り除けば改善します。
ランナーの例で言えば、
- 重心が左右に蛇行する=重心をまっすぐ運ぶようにインプットする
- 身体を捻るような動き(癖)がある=動きを変える
- つま先や足首を使うなど、走り方の問題がある=走り方を改善する
- アライメントの問題がある=筋肉を緩めて整える
こういったイメージです。
ですので、全てをインナーマッスルの弱さにすることは不適切ですし、インナーマッスルを強化しても体幹のブレは改善出来ません。
このように、インナーマッスルを鍛えることは全ての悩みを改善するような言い方は適切ではないですし、嘘も含まれています。
今回の内容が少しでも、インナーマッスルに対する情報を精査する内容になっていればうれしく思います。
今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!